弱いあたし
「言えないの?」
「こっち来なよ」
「いたっ・・」
腕を掴まれて人通りの少ない路地へ連れ込まれる。
「アンタ、何様?お父さん居ないのに学校来てんの?いい加減辞めてくれない?」
「っ!」
いきなり後ろへ押されて蹴られる。
いつもの時間。
ただ痛くて苦しい時間。
これを耐えれば家に帰れる。
少しの辛抱。
そうすれば家に帰ってお母さんや直樹が待ってる。
「1回怖い目に遭わせなきゃね」
杉下さんが不敵な笑みを浮かべてとりまきの1人が筆箱から何かを取り出す。
カチカチ・・・
嫌な音を立てるそれは、カッターだった。
「っ!?」
「痛い目に遭わせなきゃ分からないようだからね」
「痛い!」
あたしの髪の毛を引っ張られる。
髪の毛を切られる・・・!
嫌!やめて!