弱いあたし
キーンコーンカーンコーン
学校の終わるチャイム。
あたしはランドセルを背負って校門に向かう。
「奈緒、こっちこっち」
淳が手を振って笑ってる。
あたしは淳のトコまで走った。
「おかえり。ランドセル貸して」
ランドセルを渡すと歩き出す。
「自分で持つよ!」
「いいの。凪斗に言われてるから。行こうぜ。みんなが待ってるから」
「うん!」
施設まで歩き出す。
「今日は何もされなかった?」
「うん」
今日は珍しく何もしてこなかった。
「なら良かった。行こう」
あたしに手を差し出す。
「?」
あたしは戸惑う。
こういうのって直樹かお母さんとしかしたことないから。
「手、出せ」
あたしは手を出す。
その手を淳は何の躊躇いもなく握った。
「初めてか?手、握られるの」
静かに頷く。