愛し君へ…


私はその時、響ちゃんから話を聞いて、初めて全てを知ったの。

だから――…





「ねえ響ちゃん。

お金は、私が何とかするわ。
だから、一人暮らしをしてみない?」





私は、響ちゃんに一人暮らしを勧めたの。


それからは、あんまり会わなくなって…大丈夫だとは思ってたけれど、あんまり知らないわ…


ごめんなさいね」





響のお祖母さんの、長い話を振り返りながら。
俺は何を話せばいいのか分からなかった。




俺が響に告白したのは、4月。

じゃあ響は、
空白の2ヶ月を、どんな想いで過ごしてたんだろう?


なぜ…過去を俺に話してくれなかったのだろう?



そんな辛い過去があったなんて、想像もつかなかった…


だって響は、いつも変わらない笑顔で俺の話を聞いてくれた。
俺は響に…たくさんの強さと優しさをもらった。


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