愛し君へ…


「今はまだ無理かもしれないけど…


だけど、いつか必ず。
響が好きだって言ってくれた、あの笑顔を見せるから…


だからそれまで、待っててくれるかな?





これが響との、最後の約束だからさ…」





ふと軽い笑みを浮かべ、俺はポケットからあるものを取り出した。

丁寧に包んである紙を剥がし、中身を取り出した。



中身は、ペアリング。
1年記念日の…あの日に渡す予定だったもの。


俺はそれを、自分が付けていたネックレスのチェーンに2つとも通した。





「せめて約束果たせるまでは、一緒にいて欲しいんだ…」





その時、心地よい風が吹き抜けた。
カツン、と指輪同士がぶつかる冷たい音が響いた。





「俺、頑張るからさ」


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