愛し君へ…


それからもう一つ、約束があった。




『後ね、竜にプレゼントがあるんだ!!

あたしの部屋にあるから、今度取りに来てね?』



『え?うん…』



『取りに来るのは、夏だからね?』




***


ガチャ…


久しぶりに来た、響の部屋。

―――響の匂い…
全ての物があの時のまま残っている。


今にも響が、『ただいま』って帰って来てくれそうなくらい。





「…あった」





部屋を見回して、いくつか棚の引き出しを開けていくと。

“竜へ”と書かれた紙の付いた、小さい箱を見つけた。



ドキドキと高鳴る胸で、包みを開き、中に入っていた小さな箱を開けてみると―――…





「指輪…?」





指輪は―――…確かに俺が選んだ指輪と、全く同じものだった。


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