人工的な空の下で

休みの日、最近狙っていたバッグを買いに買い物へ出かける。

バレンティノのリボンがついたエナメルのバッグだ。
雑誌で見てから毎日お昼代をケチって節約もしてお金をためた。
それがとうとう手に入りご機嫌で梅田をふらふらする。
予想より少し安く買えたので財布の紐もゆるむ。

両手いっぱいに買い物した荷物を抱えながらお香を買いに雑貨屋に向かう。
雑貨屋でお目当てのお香を持ちながら店内見てまわっているとテレビで【ときいさむ】の小説の映画予告が流れていた。

ご機嫌な私は【私の元カレよ！】なんて思いながらどういう映画なんだろう？とテレビを眺める。

久しぶりの感覚。
懐かしい雰囲気。
胸がギューと締め付けられる。

きっと今ユウからメールが来れば何も考えずにユウの家へ急ぐだろう。

久しぶりの切ない感覚に有り得もしない変な期待。
期待通りに行くわけでも無く、ユウからのメールは来なかった。


久しぶりに【ときいさむ】の小説でも読もうと思い本だけ買って帰る。