人工的な空の下で
俺の事を好きだという一人の女性がいた。

俺と似た波長を持ちながら全く逆のタイプだった。
人に興味が無さそうな素振りで一人が好きだと言うが誰よりも人が好きだった。
他人の話で泣く。
他人の話で一緒に怒る。他人の幸せを一緒に喜ぶ。
いつも楽しそうに笑い、自分の可能性を信じていた。
辛い事があった時も自分が幸せだと信じて疑わなかったし愚痴も言わなかった。

俺が星が好きだと言えば一生懸命勉強し、雑学を振る舞ってくれる。
いつしか彼女を愛おしいと感じ、彼女といる時はモノクロの世界が色づいて感じた。

周りの者をモノクロに染めてしまうのか、どんなに明るい色も長くいると電球が切れるように俺の暗い心は照らされなくなるのかはわからない。

いつしか光を照らしていてくれた彼女からも光を感じなくなっていた。


だが紛れもなく最後に会った彼女は光を取り戻していた。

最後の約束通り幸せで過ごしているのだろうか?

もう一生会う事も触れる事も無い女性とわかっているから尚更切なく感じる。

また会う事があるなら街中なんかで無く彼女とよく行った人工的な空の下で会いたいものだ。
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