人工的な空の下で
すっきりしない自分と決別するために私はプラネタリウムへ向かった。

ユウが来ないのはわかっていたが今日行ってユウと会わなかったらユウの事は縁が無かった人として再び過去に閉じ込める。
プラネタリウムのチケットを買ってリクライニングの椅子に座る。

席はいつもユウと座っていた席。
いつも行く小さな科学館は休日や小学生の団体様がいる時を除き鑑賞者も数人しかいない。


いつも通り解説を聞きながらプラネタリウムを眺める。
この星空はユウと私の初々しい頃から終わりかけの頃、別れた後まで受け止めてきたんだな。

胸が締め付けられて涙が出た。
今日の未来を映し出した星空が現在の時間まで戻る時に斜め後ろに座っていた人にハンカチを差し出される。
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