人工的な空の下で
彼と過ごす時間
今、私は駅で彼を待っている。

待ち合わせ時間から十分が過ぎた。
仕事が長引いているのだろうか。

駅前の灯りにより姿が薄くされた星を眺める。

「いつもプラネタリウムだからたまにはな。」
そう言って夜の山にドライブに連れて行ってくれた事を思い出す。
あの時は星の事なんて全くわからなくて、指をさしながら星座を教えていってくれた。
その時に今まで以上に彼の好きなものを好きになりたいと思った。

待ち合わせから二十分弱が過ぎた頃に彼が到着した。
「ホンマごめん!今日中に見積もり送ってほしいって言われて。」
そう言って私の荷物を受け取って車の後部座席に置く。
「ええよ。仕事やししゃーないやん。」
笑顔で返して車に乗り込んだ。

運転中に手をつながなくなったのは、いつからだろう?
「ユウ君…手つなぎたい。」
驚いた顔で私を見て目を細めて笑う。
「いきなりどうしたん?」
そう言って差し出された大きい手をギュッと握る。
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