ivory
アイスカフェモカを飲んでいると、後ろから名前を呼ばれた。

「美沙!!」

久しぶりに呼ばれた本名に違和感を覚える。

振り返るとターコイズブルーのベアトップにデニムミニを穿いた夏穂が立っていた。

「ごめん、待った?」

「待たされるのに慣れたから大丈夫。」

夏穂がチロッと舌を出して笑った。

夏穂とは中学からの親友で、高校卒業と同時に一緒に九州にある田舎町から福岡にやって来たのだ。

「何かまた痩せたね?ひょろっとしてたら男受け悪いよ?」

バツが悪くなって煙草に火を付ける。

「私のことは置いといて、夏穂はどうなの?仕事にはもう慣れた?」

夏穂は運ばれて来たジンジャーエールを喉を鳴らしながらに飲むと軽く目を閉じた。

「んー上司に怒られてばっかり。ずっとしたくてやっと入れたテレビ局だけど、走りっ放しだし、ホント体力勝負だよね。でもーーー」

「何?」

目を開き、キラキラ輝かせながら言った。向日葵みたいに明るい笑顔。

「すごく充実してる。」

「そっかー。良かったね。うん。充実してるのは顔見たらすごく分かる。」

こんな風に昔の知り合いと、夜関係の知り合い以外と会うと何でこんなに虚しくなるんだろう?

ものすごく自分が惨めに思える。
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