ivory
女子トイレに掛けられたピカピカの鏡に映る自分をチェックする。

前髪はイイ感じに不揃いになっている?

紺色のセーラー服に埃は付いてない?

赤いタイはちゃんと結べてる?

ファンデは濃すぎず薄すぎず、眉毛は綺麗に描けてる?

リップグロスも塗ったし!

よし!可愛い。大丈夫!!

鏡の中の私に気合いを入れると、夏穂が横で苦笑する。

「美沙、あんた気負いすぎだから。」



ヒロユキ先輩の顔を見ること’

退屈な高校生活で唯一の楽しみが明日からなくなってしまう。

今日、先輩がここを卒業してしまうのだ。

今日会えるのが最後になる。

だから勇気を振り絞って、卒業式の今日、一緒に写真を撮ってもらうことに決めたのだ。

朝のホームルームの前。緊張しながら夏穂と先輩のいる教室に来た。

そして後ろのドアの近くに居た小柄な女の先輩に、ヒロユキ先輩を呼んでもらうように頼んだ。
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