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「毎月ナンバー2の子とすごい大差つけてるもんね?
店が暇な時でもユウちゃんは関係なく常連さんで埋まっちゃうし。
何か秘策でもあるの?」

山本は私の顔色を伺う様に聞いた。

「んー秘策なんてないですよー?ただニコニコしてるだけ。」

“私、何してんだろ?”

そんなことを考え出すとキリがない。

考え始めると割り切っていることなのに心が病み出す。

「じゃあ、おやすみなさい。また明日。」

玄関で頭を下げる山本に手を振る。

もうとっくに空は明るくて、サラリーマンや学生達が世話しなく歩いている。

余白のない車やバスの列。

爽やかな夏の朝には不釣り合いな化粧がはげかけた女は一人、逆方向へ向かう。

けだるい腰を引きずって固くてひんやりしたベッドのある部屋へ。
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