幕末〓冷血の鬼
「土方さんいなかったから……」


「俺を探しに来たのか。」


土方さんはそう言ってフッと笑った。


「どうして桜の木に登ってたんですか?」


「隊士達を見ていた。」


「桜の木から?」


「ああ。皆、楽しそうにしている。ずっとこうだったら良いのにな。」


そう言う土方さんの目は寂しそうにしていた。


「土方さん!来年も再来年も皆で花見に行きましょう!」


私の言葉に土方さんが目を丸くした。
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