幕末〓冷血の鬼
「約束は出来ねえな。俺らは何時も死と隣り合わせだ。」


「それでも生きて下さい。」


私は、土方さんを真っ直ぐに見た。


「少なくともまだ死ぬわけにはいかねえよ。」


土方さんがそう言うのと同時に風が吹き、桜の花弁が舞った。

「ほら、総司に菓子を全部食われる前に戻るぞ。」


土方さんはそう言って歩き出した。


「待って下さい。」


そう言うと土方さんは、足を止めた。


「なんだ?」


「あなたは1人じゃありません。新選組の皆もいますし私もいます。」


私がそう言うと、土方さんは私をジッと見た。
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