幕末〓冷血の鬼
「土方さん。私です。」


「恋花か?入れ。」


土方さんにそう言われ部屋に入ると煙管をふきながら正座している土方さんがいた。

「土方さん、皆向こうの部屋にいるのに行かないのですか?」


「ああ。」


「どうしてですか?」


私がそう聞くと土方さんはほんのり頬を赤らめた。


「酒に強くねえんだよ……」


「えっ?」


鬼の副長と呼ばれる土方さんが酒に弱い。

私は、土方さんの言葉を聞いて吹き出してしまった。


「だから言いたくなかったんだよ。隊士達にも知られたくねえ。だから酒のみの時は席を外してるんだ。」


確かに今日、花見の時も土方さんは1人でいた。
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