幕末〓冷血の鬼
屯所を出る前にフッと恋花の顔が浮かんだ。


「歳、どうした?」


「いや…。近藤さん達は先に行っていてくれ。」


俺がそう言うと、近藤さんは頷いた。


恋花の部屋に足早に行き襖を開けると、スースーと寝息をたてて恋花は寝ていた。


俺は恋花の寝ている隣に座り恋花の頭を撫でた。


屯所に来てから1年以上経ち、恋花は大人びた顔立ちになった。


「恋花、お前には心配をかけてばかりだな。変な胸騒ぎがするんだ。」


俺のカンはよく当たる。


だから、この胸騒ぎが不安だった。
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