幕末〓冷血の鬼

池田屋事件の後

「総司。入って良いか?」


「土方さんですね。どうぞ。」


総司にそう言われ部屋に入ると、総司は長い髪を下ろし布団に入っていてそこから俺の方を見た。

「調子はどうだ?」


「見ての通り元気ですよ。」


総司は、そう言ってクスッと笑った。


嘘だ。


こいつは昨日池田屋で血を吐いた。


「いつからだ?」


「はい?」


「いつから血を吐いているんだ?」


総司の目をジッと見てそう聞くと総司はフウと息をついた。


「咳が出始めたのは、だいたい1年前です。初めて血を吐いたのは2ヵ月くらい前ですね。」


「何故黙ってた?」


「だって私が労咳って知ったら、隊から外されると思いまして。」


総司は、そう言って苦笑いした。
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