幕末〓冷血の鬼
「心配かけてすいません。」


「恋花ちゃんが謝ることないよ。悪いのは恋花ちゃんを置いてきた土方さんなんだから。」


土方さんは何も言えず眉間にシワを寄せている。


「おや、皆さんお帰りで。恋花さんほど美味しくはないですけど、夕飯の支度が出来てますよ。」


沖田さんは、私達の声で気づいたらしく部屋からヒョッコリと顔を出した。


その後、沖田さんに作ってもらったご飯を食べ、私は自分の布団に潜った。


(あの句何だったんだろう?)


『知れば迷ひ しなければ迷わぬ 恋の道』


私は、この句がずっと頭に残っていた。


土方さんに好きな人がいるのだろうか?


そう考えると胸が締め付けられるように苦しくなった。


私は布団を頭までかぶり、眠りについた。
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