幕末〓冷血の鬼

不安

この頃、怪我をする隊士や死んでしまう隊士達が増えている。


京が火の海になり、屯所に帰ってきた時も隊士達は傷だらけだった。


とくに山崎さんは体のあちこちに傷を作っていて痛々しかった。


土方さんに渡された石田散薬の薬を山崎さんに塗っているとき私の目から大きな雫が零れた。


「恋花さん?」


「ごめんなさい…。何でもないので。」


私がそう言うと山崎さんはフウと息をついた。


「君は隊士達のために手当てをして良くやっているよ。」


山崎さんは、私の気持ちをわかるように言ってきた。


(良くなんかやってない…。皆が戦っている間私は待つ事しかできない。皆を守る事も出来ない。)


そんな自分に腹を立てていた。
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