幕末〓冷血の鬼
だが、少し明るくなった気もする。


人を殺す、男だらけの屯所。


逃げれば切腹の場所で何かを見つけたのだろうか?


考えていると、藤堂君がまた寝返りをうった。


「れ…………ちゃ。」


何かを良いながら藤堂君は笑顔になっている。


(何の夢を見てるのかしら?)


耳を傾けるとかすかに言葉が聞こえた。


「恋花ちゃん。今日もご飯美味しかったよ。」


「恋花ちゃん?」


屯所に女はいないはず。


しかも、藤堂君は愛おしそうにその名前を呼んだ。


もしかしたら藤堂君が明るくなった理由なのかもしれない。


「屯所に行くのが楽しみね。」


私は部屋の明かりを消し眠りについた。
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