幕末〓冷血の鬼
「近藤さん、私なら平気よ。勝手に手を出した私が悪いのですもの。」


「伊東先生は本当に心がお広い。」


近藤さんは感心した眼差しで伊東さんを見ている。


「それより、私は部屋で休ませてもらえないかしら。」


「そうですね。旅で疲れているでしょう。恋花君、部屋に布団を用意してもらっても宜しいかな?」


「良いですよ。」


「それでは伊東先生、用意が出来るまで私の部屋で話でも。」


近藤さんがそう言うと伊東さんは頷き、近藤さんの部屋に行ってしまった。


「私も伊東さんの部屋の準備があるので失礼します。」


私は土方さんにお辞儀をし、部屋に行こうとしたが土方さんがギュッと私を後ろから抱き締めて来た。


「行くな。」


土方さんの低い声が私の耳元で聞こえる。
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