幕末〓冷血の鬼
「たく、気色わりい奴だ。」


(言いたい事が有るなら言えばいい。)


『恋花ちゃんの事好きなんでしょ?』


あいつの事だからそう聞いてくると思っていた。


だがあいつはそれ以上何も聞かず部屋から出て行っちまった。


それが逆に気味が悪くてしょうがねえ。


(あいつは何を企んでいる?)


胸騒ぎがする胸元を俺はグッと掴んだ。


(伊東は新選組に興味があるのは知っていた。しかし、恋花に興味を抱くなど考えてもいなかった。)


俺は、煙管を持ち気持ちを落ちつかせようとくわえ、フウと息をつき自分の机に体を向け仕事に励んだ。
< 247 / 627 >

この作品をシェア

pagetop