幕末〓冷血の鬼
山南さんは考えるように目を伏せ俯きしばらくすると私に人懐っこい笑顔を向けてきた。


「私を最後まで負け犬にさせないで下さい。最後は武士らしく死にたいのです。」


山南さんの言葉で私はやっとわかった。


山南さんは、自分の死ぬ場を探していたのだと。


「沖田くん、もう1つお願いしても良いですか?」


「何ですか?」


私がそう聞くと山南さんは懐から紙を出してきた。


「これは?」


「ある方に渡してほしいのです。」
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