幕末〓冷血の鬼
「ある方?」


「こんな私を愛してくれた女性がいるのです。彼女に私が死んだ後、渡してください。」


私は山南さんの手紙を震えた手で受け取った。


「さて、行くとしますか。」


山南さんはそう言うと立ち上がり馬に乗った。


「………わかりました。」


山南さんがここまで言っていては私はどうすることも出来ない。


そんな無力な自分に腹が立ち私は自分の唇を噛み締めた。
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