幕末〓冷血の鬼
屯所に着くと一番始めに土方さんが来て、そして直ぐ近藤さんも来た。


「山南さん、あんた何で逃げ切ってくれなかったんだ?」


『山南さんを殺したくない。死なせたくない。』


土方さんの目は、山南さんにそう訴えているように見えた。


だが言葉としては出さない。


それは新選組の副長として、言ってはならない言葉だと思ったのだろう。


「すいません。」


山南さんは、それだけ言うと黙ってしまった。


その後他の隊士達も門の所に集まり、土方さんの答えをジッとうかがっていた。
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