幕末〓冷血の鬼
「あの私、沖田さんの所に行くので失礼します!」


「恋花さん、待って。」


急いで沖田さんの所に行こうとしたが伊東さんに腕を掴まれた。


「何ですか?」


「あなたと話したい事があるの。」


「後でにして下さい!私、沖田さんの所に行くので。」


伊東さんの腕を振り払おうとしたが、男の人の力には適うわけがない。


「沖田さんの労咳なら平気よ。今は落ち着いて眠っているわ。」


伊東さんの言葉に私は凍りついた。


「……どうして?沖田さんが……労咳だって事を…。」


「沖田さんから聞いたの。」


(嘘だ。沖田さんが自分から伊東さんに言うなんてありえない。)
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