幕末〓冷血の鬼
あれから数ヶ月がたち、3月になると伊東は御陵衛士の役を拝命し、俺達は分離を承諾せざるをえなかった。


この分離で、隊長の平助と鈴木そして斎藤が隊を抜けた。


恋花は、伊東に何回も誘われたらしいが首を縦に振ることはしなかったらしい。


「辛いですね。大切な仲間が離れて行ってしまうなんて。」


そう言って寂しそうに俯く恋花の頭を俺は優しく撫でることしか出来なかった。


見送りの時、恋花は平助達が見えなくなるまで寂しそうに見つめていた。


「恋花、部屋に戻るぞ。」


恋花は、俺がそう言っても動こうとしなかった。


「恋花?」


俺がもう一度声をかけると恋花はハッとした様子で俺の顔をみた。


「そうですね。部屋に戻りましょうか。」

恋花は寂しさで震えている手で俺の手を握り俺達は部屋に戻った。
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