幕末〓冷血の鬼

寂しさ

平助、鈴木さん、斎藤さんが隊を抜けてから1ヶ月がたった。


「恋花さん、桜が綺麗ですね。」


体調を崩し、布団に入っていた沖田さんは体を起こして桜の木を眺めていた。


「そうですね。」


「恋花さん、泣きたいなら泣いて良いのですよ。」


「えっ?」


「ずっと泣くのを我慢していませんでしたか?山南さんが亡くなった時も平助達が隊を抜けた時も、貴女は涙を見せてない。」

沖田さんはそう言うと細い腕で私を抱きしめた。


「貴女の事ですから泣いたら忙しい土方さんに迷惑がかかると思っていたんでしょう?ならここで泣いてください。私は、貴女が泣いても優しく包み込んであげますから。」


沖田さんの言葉に私は涙が頬をつたるのを感じた。
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