幕末〓冷血の鬼
(簪を買ったし屯所に戻ろう。)


「ゴホッ!ゲホッ………。」


店を出ると狭い道の方から苦しそうな、咳が聞こえてきた。


道を覗くと男の人が苦しそうに背中を丸めしゃがんでいる。


「大丈夫ですか?」


心配になって近寄ると、男の人はゆっくりとこっちを向いた。


「えっ?」


私が驚いた顔をすると相手も驚いたらしく目を丸くしている。


「高っ……梅之助さん!」


「なっん……ゴホッ!」


咳が止まらない高杉さんの背中をさすっていると高杉さんの手から何かがつたってきた。
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