幕末〓冷血の鬼
俺はその後を追いかけた。


恋花は、外に出ると月を悲しげに見つめていた。


俺は、そんな恋花に声をかけなかった。


否、かけられなかったんだ……

目の前にいる恋花は、触れてはいけない気がした。


触れたら昔読んだ、竹取物語に出てくるかぐや姫の様に、何処か遠くに行ってしまいそうだった。


月の光に当たる恋花は、天女のように美しい。
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