幕末〓冷血の鬼
第七幕

知らぬ間

あの日から数日が経った。


近藤さんは、あの日から少しずつ様子がおかしくなり毎日隊士達をつれ京を走り回ったり会津藩の本陣に行っては情報を聞き出したりと慌ただしい毎日だ。


そんな近藤さんの行動を不安になった隊士達を土方さんは眉を寄せて見ていた。


「人間は我が儘な生き物だよな。何か得れれば他の物が欲しくなる。近藤さんは、名誉と地位を得すぎたんだな。だから伊東が消えた今、酷く動揺してるのがわかるが……。」


土方さんは私にため息混じりにそう言うと、近藤さんの部屋に行ってしまった。


屯所には重い空気が流れ、私は仕事を終わらせた後、気分転換に村に向かった。


11月となると外は寒く、村の人達も寒そうに歩いている。
< 385 / 627 >

この作品をシェア

pagetop