幕末〓冷血の鬼
蔵に入ると手を縛られたまま大人しく俯いている女が座っていた。


女は俺の姿に気づくと、力強い目で俺を睨んできた。


17歳くらいの歳で、まだ子供らしさがあるなか、俺は女の瞳に吸い込まれそうになった。


「お前、何故刀を持っていた?」


「あんたには関係ない。」


「関係なくはねえ。俺らの門の前に刀持ってぶっ倒れてたんだからな。」


俺がそう言うと、女は眉を寄せた。


「…………ち。」


「あっ?」


「父の仇を討ちたくて、刀を持っていた。」
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