幕末〓冷血の鬼
「わかりました。」


あの子と言うのが気になるが聞いてはいけない気がして私は、井戸に水を汲みに向かった。


外に出ると日は暮れ、辺りは暗くなっていた。


息を吐くと白い息が出て寒気がする。


「ハッ!ハッ!」


(誰?)


井戸の近くに人影が見えるが暗くて見えない。


ゆっくりとその陰に近寄ると、ピタッと動きを止めた。


「谷か。」


「斎藤さん!何をしていたのですか?」


「素振りをしていた。」


斎藤さんの右手を見ると確かに刀を握っている。


「あまり無理をしないで下さいね。体を冷やしたら風邪をひいてしまいますよ。」


「だが、俺は強くならないといけない。」
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