幕末〓冷血の鬼
「ここだ。」


しばらく歩くと俺は立ち止まりしゃがんだ。


「土方さん。これは?」


恋花も俺につられしゃがみ首を傾げて来た。


俺達の前には小さな石が置かれた墓がある。


(何年ぶりにここに来たか…。)


「ここは……俺が16の時に斬り殺した子供の墓だ。」


「えっ?」


俺の言葉に恋花は目を丸くしている。


「まだ多摩で貧乏道場にいた時だった。話が長くなるけど良いか?」


俺がそう聞くと、恋花は黙って頷いた。
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