幕末〓冷血の鬼
近藤さんは、多摩のガキ大将でよく悪さをしていたが、弱いものイジメだけは決してしなかった。


そして俺の夢も馬鹿にせず、いつも真面目に聞いてくれた。


「かっちゃん……俺武士になりてえんだ。強く…強くなって、かっちゃんを立派な大将にして……。」


「ああ、俺も貧乏道場主で一生を終えるのはまっぴらだ。きっとなれるさ。俺達なら……。」


俺たちは武士になりたくて毎日毎日練習をした。


だが、今考えればこの時が一番平和だったのかもしれない。


「土方さん~!!今から皆で月見ですって!今日は綺麗な満月ですよ!!」


季節の変わり目や満月の夜にはいつも道場で騒いでいた。
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