幕末〓冷血の鬼
「だってお侍さんは、人を守るんでしょ?」


苗の目が俺を真っ直ぐに見てきた。


「俺は侍じゃねえよ。」


「そうなの?」


俺は首を傾げている苗の頭に手を乗せた。


「でもな俺は侍になりてえと思っている。何時かは侍になってやる。」


「お兄さんなら出来るよ!!」


苗の言葉は純粋で、俺は自然と口が笑った。


「ありがとうな。」


「お兄ちゃん、お名前は?」


「土方 歳三だ。」


「歳三兄ちゃん……としにいって読んでも良い?」


「ああ。」


「としにい!!」


苗はニコッと笑い俺の足を抱きしめてきた。
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