幕末〓冷血の鬼
「こら!!お苗、あまり困らせちゃ駄目よ。ごめんなさいね、この子甘えん坊で。」


「いや……。」


子供を相手にするのはどっちかと言えば好きな方だ。


総司がガキだった頃もよく一緒に遊んだもんだ。


「これ父のなんですけど……。」


「すまない。」


菊が渡してきた着物をもらうと俺は家の影に行き着替えた。


「わあ!!としにい、お父さんみたい!」


苗は俺の姿を見るとニコニコしながら俺の手を掴んできた。


「お菊さん、着物の礼をしたいんだが父親は何処にいる?」


俺がそう言うと、菊は顔を曇らせた。
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