幕末〓冷血の鬼
「去年亡くなりました。」


お菊はそう言うと下を向いてしまった。


「すまない。聞いてはいけない事を聞いた。」


「いえ……。」


お互い黙り気まずい空気が流れると苗は俺の腕を掴んだ。


「としにい。またここに来てね!!私ねとしにいに見せたい場所があるの!」


「良いが、俺がここに来て邪魔ではないか?」


俺がそう言うと菊は首を横に振った。


「いいえ、私は稼ぎに出てこの子は家に1人でいるので相手をしてくれると助かります。」


菊の言葉に苗はコクコクと頷いた。
< 473 / 627 >

この作品をシェア

pagetop