幕末〓冷血の鬼
話終えると恋花は暗い顔をしたまま黙ってしまった。


「恋花?」


俺が、そう言って顔を覗き込むと恋花は頬に涙がつたった。


「何泣いてやがる?」


慌てて指で恋花の涙を拭いてやると恋花はゆっくり口を開いた。


「そんな過去があったのですね。でもお苗ちゃん今は喜んでいるとおもいますよ。土方さんは立派な侍になりましたから。」


「だと良いんだがな。あとな、今だから言えるが俺は、お前に初めてあって父親の話を聞いた時、お前を苗と重ねて見てしまっていた。」


俺がそう言うと恋花は驚いた顔をした。


「そうだったんですか!?」


「ああ、だがな今はちげえ。恋花、もう一つ連れて行きてえ場所が有るんだ。ついて来てくれるか?」


俺がそう言うと恋花はゆっくり頷いた。
< 488 / 627 >

この作品をシェア

pagetop