幕末〓冷血の鬼
しばらく歩き着いた場所は、昔苗が俺を連れて行った川が流れていて沢山の花が咲いている花畑だった。


「ここは…。」


恋花は辺りを見回して驚いた顔をしている。


「似ているだろ?あの場所と…。」


俺がそう言うと恋花はコクンと頷いた。


京にいた頃に、俺の句を恋花に見せた場所。


そことこの場所はとても似ていた。


恋花を京の花畑に連れて行ったのは苗と重ねてしまっていたからだろう。


だが花畑に行った時、俺は気づいた。


(恋花は苗じゃねえ。こいつはこいつだ。)


そう思った途端急に意識をしてしまい、しかもその時に恋花に恋の句を見られてしまって……。


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