幕末〓冷血の鬼

俺は黙って恋花の頭を撫でた。


空を見ると月が登り始め空は暗くなってきている。


その月は恋花が「月が嫌い」と言った時と同じ満月だった。


【私は、月が嫌いです。人が何人死のうとも、どんなに苦しもうとも月は輝き続ける。まるで、人にどんな事が有っても世界が変わらないみたいで……】


悲しげに月を見ながら言った恋花の言葉は今でもはっきりと俺の頭に残っている。


「恋花……お前はまだ月が嫌いか？」


俺がそう言うと恋花は驚いた顔をして顔を上げた。


「まだ…月が嫌いか？」


もう一度聞くと恋花は眉を寄せた。