幕末〓冷血の鬼
だが近づくにつれ、誰なのかわかるようになった。


「おつねさん。」


「まだ夜は寒い季節よ。眠れないの?」


「はい。目が覚めちゃって…。」


「そう…。不安もあるわよね。戦に行くのですもの。」


おつねさんは、そう言って私の頭を撫でた。


男の人とは違い、柔らかく温かい手。


「恋花さん、あなた歳三さんの事好きなんでしょ?」


「えっ?」


< 589 / 627 >

この作品をシェア

pagetop