幕末〓冷血の鬼
私が驚くとおつねさんはクスッと笑った。


「あなたを見ていればわかるわ。ずっと歳三さんを見ていたから。恋花さん、何があっても歳三さんからは離れないであげて。あの人は、自分で全て背負おうとするから……。」


「離れるつもりはありません。でも、私がいたらこの先足手まといになるかもしれません。」


私がそう言うと、おつねさんは眉にシワを寄せた。


「難しい事は考えない方が良いのよ。好きだから離れたくない。その気持ちだけで良いの。私も勇さんとの結婚の時、色々考えちゃったけどね。勇さんの言葉で考えていた自分が馬鹿らしくなっちゃったのよ。」


「近藤さんの言葉?」


私がそう聞くとおつねさんは頷いた。
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