幕末〓冷血の鬼

「お疲れ様でした。」


原田さんが可哀想になって、そう言うと永倉さんが急に真剣な顔をした。


「それにしても、土方さんがあんなに酒を飲むなんて珍しいよな。」


「何だよ新八、急に真面目な顔して？そりゃあ土方さんだって故郷に戻って来たら、酒くらい飲みたくなるだろうよ。」


「そうだと良いんだが、俺はそんな気がしねえんだよな……。なんつうか、やけ酒みたいな飲み方に見えたからよ。」


「そうだったか？」


「まあ、お前は土方さんに捕まってたからな。見る余裕が無かったんだろうよ。」


永倉さんの言うとおり土方さんは何時もお酒を飲むのを避けていた。


（悪い事が起きないと良いけど……）