幕末〓冷血の鬼
「恋花さん、あなたみたいな人が歳三の近くにいてくれて良かったわ。」


「えっ?」


私が驚くとおのぶさんがクスッと笑った。


「あの子、昔から1人で背負い込む癖があってね。それに負けず嫌いで弱みも見せないから心配だったの。歳三の事だから勇さんの為なら感情も捨てて突っ走って行きそうで。」


おのぶさんは、そう言いながら土方さん達を見つめていた。


「でも今日、久々に歳三と会ってとても表情が穏やかだったから安心したの。恋花さん、あなたのおかげだわ。」


「私は、何もしていません。」


私がそう言うとおのぶさんは首を横に振った。
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