幕末〓冷血の鬼
「行っちゃった。」


猫の小さくなっていく姿を見ていると、土方さんに頭をクシャッと撫でられた。


「恋花、何処にも行くなよ。」

「えっ?」


「俺の前から消えるな。お前はずっと此処に居ろ。」


そう言う土方さんの目が切なそうになっているのに私は気づいた。


「何処にも行きませんよ。私が此処以外何処に行くんですか?」


私がそう言うと土方さんは、ホッとした顔をした。
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