四行だけのラブレター
出だしから、なんて強い…。

凄すぎるでしょ。

「パス…」

私と小百合がパスした。

これは確実に、全員パスだろ。

京ちゃんが、カード四枚を手に取った。

まさか…。

「パス」

って…パスかいっ!!

あぁ。

なんか、バカみたい。

平は、次々とカードを出していき、大富豪に。
私は富豪。
小百合は貧民で…。
京ちゃんは、大貧民。

「言い出しっぺが大貧民とか…。京ちゃん、ウケる~」

私が笑うと、小百合も笑った。

「あ…。平、強いね」

「お…ま…」

「…え?」

私の言葉に、平はボソボソと何か言ったが、聞こえなかった。

「お前の名前…彩愛って言うんだ」

外を眺めて言う平に、私はドキッとした。

「うちに、菖蒲咲いてる。…綺麗だよな。俺、菖蒲の花、好きなんだ」

平の言葉に、私は胸の鼓動を止められない。
< 5 / 32 >

この作品をシェア

pagetop