四行だけのラブレター
話せたことが嬉しくて。

『菖蒲の花が好き』が、
『彩愛が好き』に聞こえて。


「私も、菖蒲好き。昔、庭に咲いてたの。とっても綺麗だった。まぁ、私の名前の漢字は、彩った愛で彩愛なんだけどね」

私が言うと、正面から平の整った顔が私の方を向いた。

細い目が、私を見つめる。

「…いいじゃないか。愛が彩るなんて…。俺の漢字なんか、永遠に司るで永司。なんか…嫌」

初めて、親しく話せたことが嬉しい。

「そう?永遠に司るモノによらない?」

私が、平と話しているとき、小百合と京ちゃんは何処かに行った。

「え…」

「永遠に優しさを司るなら、とってもいいじゃない!」

平は、意外だというような表情をし、今まで見たことのない優しい笑顔を見せた。

「…そうだな。ありがとう。米倉は、いい奴なんだな。京が言うように」

平は、私を見つめて微笑した。

私の胸も、どんどん高鳴っていく。
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