君のそばに



上と下…?

……あれ?柚に話してなかったっけ?何かもう話した気でいたよ。



騎馬戦の上というのは八巻きを取る人のことで、下というのは上の人を支えて走る人………要するに馬のこと。

…私は結局、前者になってしまったのだ。



「ふーん、上になったんだ。」


「…そうなんだよ〜、私トラウマがあるから本当はやりたくないんだけどさ……。」


「あんた、嫌なら嫌っていいなよ!…ったくお人よしなんだから!」



「……じゃんけんに負けて、上になっちゃった…。」


私は何故か異様に申し訳ない気持ちになった。

それに納得してないのか、柚はフンッと鼻を鳴らした。




「…で、清水さんが下になったわけだ。」


「……?
…そうだけど……。清水さんが下だと何かあるの?」



また清水さんの話題になるんだ……。さっき”言える事はそれだけだから”って言ったのに……。



「はぁ〜…
沙矢さん、さっき私言いましたよね〜?気をつけな、って。」


柚は大袈裟なくらいのため息を零して、面倒臭そ〜うに言った。



「うん、言われた…。」


「清水さんが下だとあんたに危害加えようとしたら、いくらでも出来るって言ってんの!」


”危機感ゼロ!”と語尾に付け足して、また鼻を鳴らす。




そ、そんなに怒んなくてもいいじゃん……。


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