君のそばに
「もうちょっと気をつけなよ!何かされてからじゃ遅いんだよ?」
柚はまるで私の保護者にでもなったかのような口調で言った。調子が上がって来たのか、さっきから同じような話ばっかり…。
私は何度”気をつけろ”って言われたんだろ。
…それに……何か清水さんが、すっごい悪者みたいな言い方してんですけど……。
清水さんに失礼だよね…。
あ、だから人がいない所でお昼食べたいって言ったんだ。
本人が聞いてたら大変だもんね。
私は周りに人がいないか確認する。
よし、いないみたいだ。
少しホッとした。
その私の行動が柚に目敏く発見されてしまった。
「聞いてんの?あんたの話してんだから。」
「あ、はいはい。聞いてます…。」
”…ったく!”
とブツブツ言いながら柚は残っているオカズを口に放り込んだ。
いかにも”最近の若者は〜”とでも聞こえてきそうな感じだ。
…柚に説教されてるのか、そうでないのか分からないけど、…何だか、段々疲れてきた…。
私、この後まだあるんですけど……。柚は終わったからいいかもしんないけどさ。
でも柚はまるで疲れを知らないように延々と”清水さん”トークを続けた。
すると私の気持ちを読み取ったかのように午後の種目が始まるチャイムが聞こえた。
「あ、そろそろ行かなきゃ!」
私にはそれが救いの鐘の音に聞こえた。
私が勢いよく立ち上がると同時に、柚もつられて渋々立ち上がった。
柚のその顔はまだまだ言い足りないようだ…。
そして私たちが席に戻ると
そこに噂のあの人がいた。